第15章

天宮和人の目に驚きの色が走り、黙り込んだ。

天宮拓海は幼い頃から口数が少なく、家族の誰に対しても冷淡で無口だった。彼と一緒にいても、あまり話をしなかった。

だが今、この女性のために、彼に頼み事をしてきた。

「ママには行かないでほしい」

小さな手が天宮和人の服をつかんで引っ張り、泣きはらした目は真っ赤になっていた。

星谷由弥子の心はたちまち柔らかくなった。天宮拓海の小さな姿を見つめると、まるで自分の子どもと重なって見えた。

あの時、子どもを産んだ後、一目見た赤ちゃんは、とても小さくて柔らかく、大きな目を開けて彼女に笑いかけていた。

あれは彼女の子ども。必ず取り戻さなければならない...

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