第19章

天宮拓海は天宮和人の承諾を聞いて、途端に目元が綻び、かなり嬉しそうな表情になった。

星谷由弥子に聞かれて悲しませないよう、小さな声で天宮和人に囁いた。「お父さん、美晴婆さんがね、ママは格下の家の出だから、きっとまともなものなんて持ってこられないって」

「そしたら天宮家の面目を潰すから、ひいおばあさんがママを懲らしめるのを待ってるって」

星谷由弥子は眉をひそめた。村上美晴の敵意があまりにも強すぎる。口を開けば閉じれば彼女の悪口ばかりだが、自分は村上美晴に何も悪いことをしていないのに。

彼女が知らないのは、天宮東輔は遊び人だが、天宮和人は天宮グループの社長であり実権者だということ。二人は...

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