第21章

「姉さんはもうかず兄と結婚したのに!かず兄みたいな素敵な旦那さんがいて、息子もいるのに、まだあの二人の雑種なんか気にするの?分をわきまえないわね!」

星谷清美の言葉には不満が滲んでいた。彼女は思わず天宮和人を一瞥し、その目には一筋の憧れが光った。

彼女はこれまで天宮和人に会ったことがなく、母親たちから天宮和人が交通事故で植物人間になり、一生目覚めないどころか、いつ呼吸が止まってもおかしくないと聞かされていた。

天宮家がお金持ちだろうと、天宮和人が死んでしまえば、彼女に何の得があるというのか?

もちろん彼女はそんなことを望んでいなかった。

でも思いがけず天宮和人が目覚めた!しかもこん...

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