第28章

星谷由弥子はあまり時間を無駄にせず、すぐに天宮家の運転手に見つけギャラリーまで送ってもらった。

見つけは帝都全体、いや国中で名高い画廊だった。

この画廊に展示されている絵は、どれも一流の巨匠の作品ばかり。

多くの上流社会の人々もここを好んで訪れる。というのも、ここには多くの作品があり、お金があっても手に入らないものばかりで、画廊で認証された絵を所有することは、間違いなく地位の象徴となるからだ。

星谷由弥子は見つけギャラリーの小道を回り込むと、広々として豪華絢爛な展示ホールに到着した。

さらに中へ進もうとした瞬間、聞き覚えのある声が耳に入ってきた。

「喜子、絵が好きでしょう?この壁...

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