第37章

星谷由弥子は心の動揺を押さえつけ、顔を横に向け、車に乗った時と同じような態度を維持し続けた。

口は災いの元、多くの人が自分自身を証明しようとして罠に落ちることがある。

しかし、星谷由弥子のほんの一瞬の動揺は天宮和人の目を逃れなかった。

天宮和人は仕事を続けながらも、心の中で星谷由弥子の素性に疑問符を付けていた。

疑問はあれど、急いで結論を出す必要もない。

天宮和人はさりげなくパソコンを閉じ、別の話題を切り出した。

「叔父はもうしばらく入院することになる」

唐突な一言に星谷由弥子は横目で彼を見つめ、続きを待った。

天宮和人も言葉を引き延ばすことなく、姿勢を正して続けた。「長男の...

ログインして続きを読む