第46章

星谷清美は天宮和人の言葉に強く同意していた。星谷由弥子になど能力があるはずがない。

しかし、あの若部社長という人物が怒り出すと、まるで人を食いそうな勢いで、星谷清美はすっかり身動きができなくなってしまった。

夏目お爺さんは自分が出ても断られることを予測していたのか、相変わらず落ち着いた様子を崩さなかった。

「由弥子くん、人生は長いものだよ。何かあったときは、急いで決断せず、よく考えるべきだ。こうしよう、ちょうど主催者もいることだし、私の独断で君たちを個室にお茶に招待しよう。上等な玉露があるんだ」

天宮和人は断れないことを理解し、星谷由弥子もそれを察していた。二人は相談することなく、し...

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