第52章

医学界に「佐々木青真」という天才医師が現れた。その神業とも言える針治療で、瀕死の患者を救う腕前は評判となっていた。

だが、この人物は謎に包まれ、院長でさえその素顔を見たことがなかった。

しかし、求めていた人物は実は目の前にいたのだ。

「神医?院長おじさん、時間を無駄にしないで、早くおばあさまを助けてください。これ以上遅れたら、おばあさまの容態が悪化してしまいます!」

院長が入室するなり、星谷清美の視線は二人に注がれた。

よく見れば、二人の目に喜色が浮かんでいるのは明らかだった。

星谷清美は理由もなく胸騒ぎを覚え、何となく怖くなって慌てて声を上げた。

院長は困惑した様子で「すでに...

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