第63章

星谷由弥子は最後の銀針を確認し、再び腰を落ち着けた。

間もなく、最寄りの病院に到着した。

星谷由弥子の言った通り、天宮和人の傷は非常に深く、縫合が必要だった。

天宮和人の傷の処置をしている時、担当医は思わず称賛の言葉を漏らした。「この銀針の処置は見事ですね。止まらなかった血管からの出血を完全に止めています」

犯人がナイフを引き抜く際、近くの動脈も傷つけてしまい、天宮和人の血は服まで濡らすほど流れ出ていた。

もし星谷由弥子が銀針を持ち歩いていなければ、この道中で出血が止まらない天宮和人は、失血過多でさらに深刻な状態に陥っていたことだろう。

「まさか今時、針灸ができる漢方医がいるとは...

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