第12章

松本絵里は一服吸い終えると、冷静に火災警報のボタンを押した。

高橋花子の誕生日パーティーは警報音とともに突然中断され、すべての来客たちは慌てふためいて会場から逃げ出した。高橋花子も松本七海に支えられながら急いで退場した。

一方、松本絵里は、落ち着き払って出口へと歩いていった。

突然、彼女は強い力で手首を掴まれ、バランスを崩して後ろへ倒れそうになった。

襲われたと思ったが、よく見ると、その人物は坂田和也だった。

彼女が反応する間もなく、坂田和也はすでに彼女の手からタバコを素早く奪い取っていた。

坂田和也はタバコを消すと、叱るような口調で尋ねた。「タバコか?」

松本絵里の反抗心と鋭...

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