第38章

彼が知っている松本絵里は非常に良い子だった。かつて彼を無私に助けてくれ、初対面から気が合い、言葉では表せないほどの親近感さえ覚えた。

彼はかつて松本絵里が坂田和也と結婚することを望んでいた。松本絵里は良い子だから、彼らの家族の一員になるべきだと思っていたからだ。

しかし、高橋花子の口から語られる松本絵里は、彼の知る彼女とはまったく違っていた。

坂田おじいさんは坂田和也の表情から何も読み取れなかったので、こう言った。「あの子は扱いにくいなら、海外へ送ることは考えなかったのかね?海外の環境の方が彼女に合っているかもしれない。田舎へ送るなんて、どうしてそんな考えに至ったのかね?」

高橋花子...

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