第49章 西村奈央、覇気

田中翔太は隣で聞きながらため息をついた。奥様のこの手腕には、彼も頭が下がる思いだった。

今や、奥様は手に入れたいものをすべて手に入れた。和也様がこう考えるのも無理はないだろう。

松本絵里はとっくに監視範囲から出ていた。坂田和也はパソコンを直接閉じると、椅子の背もたれに身を預けた。

彼にはもうわからなかった。今夜、あの所謂「家」に帰っても、あの女性に会えるのかどうか。

欲しいものはすべて手に入れた。もう立ち去るのだろうか?

欧州大陸のいくつかの国々、彼女はどこへ行くのだろう?

坂田和也の頭にはこういった疑問ばかりが浮かんでいた。田中翔太は状況を見極めながら、精気のない表情の坂田和也...

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