第7章

「坂田家の執事と知り合いなんだ。一声かけて、楽な仕事を手配してもらうよ」

松本絵里は笑顔で感謝しながらも、内心には一抹の不安を感じていた。あまりにも偶然すぎる。ただの仕事のために、おじいさんの助けを借りるなんて、少し適切ではないような気がした。

しかし、あの別荘には、どうしても行かなければならない。

おじいさんは気づかぬまま、質問を続けた。「絵里、どうしてそんな大変な仕事をするんだい?他のことを考えてみないか?」

松本絵里は淡く微笑んだ。「私には学歴がないから、これでも十分いい就職先です」

おじいさんは松本絵里を見つめ、胸に痛ましさが込み上げてきた。「まだ若いんだから、勉強を続ける...

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