第229章

懸命な処置の甲斐あって、私の容体はひとまず安定した。処置室からストレッチャーで運び出されるやいなや、山本翔一が駆け寄ってくる。彼は私の両肩を強く掴むと、修復を終えたばかりの貴重な文化財でも検分するかのように、頭の先から足の先まで視線を走らせた。

「静香、お前があんなふうに病院の入り口で倒れているのを見て……俺がどれだけ怖かったか、わかるか?」

声が震えている。今にも泣き出しそうだ。

「あいつを殺してやる。絶対に、仇を討ってやる!」

山本翔一は一言一句、噛み締めるように言った。

「翔一、冷静になって。静香のためだとしても、本当に人を殺すなんてできないでしょ。それに、静香の怪我だって大...

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