第71章

悔しさで胸がいっぱいだった。かつて私のものだった山本翔一が、あんな女にいとも簡単に奪われるなんてありえない。私は力を蓄え、機を待つのだ。ここ数日、昼夜を問わず山本翔一に寄り添うことはできないが、その時間を自分磨きに充てることにした。もう、すっぴんで過ごすような真似はしない。

今の私は、毎朝早起きして念入りに化粧を施す。その日の天気や気分に合わせて最適なメイクと服装を選び、朝食の時間でさえも、魅力的であり続けるよう努めている。これらはすべて、山本翔一と佐藤美咲に見せつけるためだ。私が最大の敵であり、彼にとって最大の競争相手であることを、佐藤美咲に分からせるのだ。人の夫を誘惑する手口をすべて使...

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