第13章 届けに来て恥をかく

その突然の言葉に、水原茜は一瞬戸惑った。

藤原圭からの電話だと気づき、茜は急に居心地が悪くなった。「申し訳ありません。貴方だとは知りませんでした」

「へぇ?誰だと思ったの?」

茜は数秒黙り、目を閉じてから開き、ゆっくりと言った。「藤原さんはわかっているくせに」

藤原圭は無意識に携帯を握りしめ、薄い唇を微かに動かした。「何か手伝えることある?」

落ち着いて冷静な声に聞こえた。

まるで全てを掌握しているような優越感が漂っていた。

しかし実は、彼の心臓は激しく鼓動していた。

彼は知っていた。茜はいつも独立心が強く、他人の助けを借りることはない。

むしろ、見知らぬ人が近づくことを極...

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