第14章 お前の老いぼれ狐

北町商店街では顔が利く人物のはずなのに、藤原圭にこんな風に一日中放っておかれるとは!

確かに藤原圭の秘書は何度も謝罪の言葉を述べてくれたが、これは明らかに藤原圭が意図的に自分を弄んでいるとしか思えなかった!

まるで猫が鼠を弄ぶように!

それなのに自分は馬鹿みたいに待ち続けていた!

自ら恥をかきに行くようなものだった。

しかし、自分が藤原圭の機嫌を損ねた覚えなどないのだが。

藤原グループを後にした太田文一は、胸に怒りを抱えていた。

車に乗り込んだ途端、水原暖から電話がかかってきた。

胸の怒りを抑えながら、「暖ちゃん」と電話に出る。

向こうから水原暖が甘い声で褒め称えてきた...

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