第20章 旦那を呼ぶ?

水原茜は眉をひそめた。自分の耳を疑ったのは彼女だけではない。会議室にいた誰もが、驚愕に目を見開いていた。

水原暖を失脚させるつもりが、なぜか昇進させてしまうとは。なんとも皮肉な話だ。

そんな周囲の反応を予測していたかのように、茜は少しも驚いた様子を見せず、すっと立ち上がると暖のそばへ歩み寄り、励ますような眼差しを送った。

「頑張ってね、妹よ」

その言葉に、水原暖は背筋が凍るような感覚を覚えた。この姉が、こんなにも親切なわけがない。

もちろん、茜は暖の本性を見抜いていた。彼女が、自分の善意に素直に甘んじるような性格ではないことくらい、百も承知だ。

厄介な問題が次々と片付き、会議室に...

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