第22章 死んだアヒルの強がり

そう言い放つと、太田久美子はドレスをひったくり、試着室へと向かった。

しかし、ドアが閉まる寸前、水原茜が素早くその前に立ちはだかる。

「太田さん、見苦しい真似はやめてちょうだい。このドレスは、私のサイズに合わせて作られたものだと、先ほどから申し上げていますでしょう」

久美子は悔しげに顔を歪めたが、それでもドレスを手放そうとはしなかった。

「売り物は、早い者勝ちでしょうが」

茜は怒る素振りも見せず、ただドレスについた皺に目をやり、眉をひそめた。

「太田さん……賭けをしませんか」

その一言に、久美子の闘争心が燃え上がった。

「どんな賭けよ」

「もし、このドレスがあなたにお似合い...

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