第23章 お風呂タイム

太田久美子は、信じられないといった表情で水原茜を振り返った。

茜自身、このドレスが高価なものであることは承知していたが、まさかこれほどの値段だとは思いもしなかった。

「私が買えるかどうかは、私の問題です。ですが今は、賭けに負けたのですから、そのルールに従って代金をお支払いいただき、このドレスをお引き取りください。私の時間を無駄にしないでいただけますか」

久美子の目に、みるみるうちに涙が滲んでいく。

彼女が持つ、限度額のないはずのブラックカードでさえ、これほどの現金を一度に引き出すことはできない。

近年、彼女は芸能界で苦労しており、家族からの援助を受けているとはいえ、貯金はほとんどな...

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