第30章 誰も私のママをいじめられない

恥ずかしくて穴があったら入りたい気分だった。今すぐその場で蒸発してしまいたかった。

あの消防士が藤原圭だったなんて信じられない。水原暖と太田久美子は舞台に駆け寄って、もう一度確認したいほどだった。

ただの消防士のはずだ。確かにイケメンではあったが、所詮は貧乏人。それが藤原グループの社長になるなんて、どうしてこんなことが?

これまでの出来事を思い返すと、すべての謎が解けた。水原茜が急に態度を変えたのも、藤原から直々に招待状を受け取ったのも、全て藤原圭からのものだったのだ。

いや。

認められない。

水原茜が北町で最も権力のある藤原圭と関係があるなんて、どうして我慢できるだろうか。

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