第46章 私に頼むのはどうですか

「お父さんがそう言っているなら、個人的に話し合うのも悪くないわ」水原茜の態度は少し和らいだ。

「示談に応じてくれるのか?」水原昇栄は明らかに興奮していた。

「そう喜ぶのは早いわ。条件があるの」

「どんな条件だ?」

「まず第一に、藤原圭が私の代わりに殴られて重傷を負って入院している。加害者は彼の入院期間中の全ての費用を負担すること。医療費、休業補償、栄養費、そして精神的損害賠償も含めて」

水原昇栄の表情はみるみる曇っていった。相手は藤原家の長男、入院している病院も最高級の贅沢な施設だ。この費用は一般の労働者には到底負担できない額で、結局は自分が裏で支払うことになるだろう。

「わかっ...

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