第55章 自分で世話ができない藤原社長

水原茜は眉をひそめていた。彼は先ほどのメッセージでは体調がとても良くなったと言っていたのに、どうして今は動きづらそうにしているのだろう。

水原茜は玄関に立ったまま動かず、アシスタントが藤原圭を助け起こすのを待っていた。

しかしアシスタントも見て見ぬふりをし、どうでもいい雑事に忙しそうにしていた。この状況で死に物狂いになるようなことはしたくないというわけだ。

水原茜は言葉を失い、仕方なく自ら前に出て藤原圭を支えた。

藤原圭はまるで全体重を水原茜にかけているようだった。

水原茜は歯を食いしばりながら、彼を専用のロールスロイスの座席まで直接支えて連れていった。

車は市南部へと向かい、車...

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