第5章

 浅桐瑠璃視点

 C市に向けて機体が降下を始め、傾くと同時に、私は窓に額を押し付けた。眼下には、高速道路とビルが織りなす巨大なパッチワークのように、C市の街並みが広がっている。胃がひっくり返るような感覚がしたのは、乱気流のせいじゃない。

 私の本当の人生は、ここから始まるんだ。

「C市へようこそ」

 スピーカーから、明るく快活な客室乗務員の声が響く。

「現地時刻は午後2時47分。屋外の気温は25度を上回り、快適な陽気となっています。どうぞ、素敵な旅を!」

 座席の下からバッグを引き出し、ぞろぞろと出口に向かう人の流れに合流した。

 空港はとんでもないことになっていた。スーツケー...

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