第130章 寝ないなら試してみて

夜、陸川北斗が接待を終えて帰宅すると、江川さんがエプロンで両手を拭きながら、慌てて報告に来た。

「若様、お帰りなさいませ! 若奥様もお戻りですが、顔色があまり優れませんで。夕食にお呼びしたのですが、降りていらっしゃいませんでした」

「様子を見てくる」

陸川北斗はそう言うと、二階へと上がっていった。

寝室の扉を押し開けると、ちょうど天樹夢子が掃き出し窓のそばで電話を終え、振り返ったところだった。陸川北斗が帰ってきたのを見ると、先ほどまで無表情だった天樹夢子の顔が、途端に曇った。

その様子に、陸川北斗は尋ねる。

「夕食は食べなかったのか?」

天樹夢子はスマートフォンを軽くも...

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