第135章 定石を破る

ばっと部屋の明かりをつけ、ベッドから起き上がると、いつの間にか陸川北斗が隣で眠っていることに気づき、天樹夢子は一気に頭に血が上った。そばにあった枕を掴むと、力任せに叩きつける。

「陸川北斗、あんた頭おかしいんじゃないの! 夜中に物音くらい立てなさいよ! それに寝ないで、人のことじろじろ見て何してんのよ!」

真夜中の雷鳴には驚かなかったのに、その視線には肝を冷やされた。

心臓が丈夫でなければ、今の一瞬で本当にあの世行きだっただろう。

陸川北斗は訳が分からず叩かれ、怪訝な顔で言う。

「夜中に何の音を立てろって言うんだ? それに、なんでお前を見ちゃいけないんだ?」

彼が彼女を見ていたの...

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