第153章 最初に思い浮かべるのは私だったら

陸川北斗に背を向けたまま、天樹夢子は目を開けず、彼を無視していた。

その様子に、陸川北斗は手にしていた本を置き、天樹夢子の上にかかっていた布団を剥ぎ取ると、身を翻して彼女を腕の中に抱き込んだ。「天樹夢子、手に入れた途端に態度が豹変したってわけか! 陸川景陽には頼んで俺には頼まないなんて、それで道理が通ると思ってるのか?」

確かに先ほどは不機嫌な顔をしていたが、彼女がもう二言三言、機嫌を取ってくれてもいいじゃないか。

あと少し、彼女が機嫌を取ってくれさえすれば、素直に従うつもりだったのに。

陸川北斗の嫉妬に満ちた問い詰めに、天樹夢子は可笑しくなった。くるりと身を返し、今度は彼を自分の腕...

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