第85章 今夜はベッドに忍び込むつもり?

その様子を見て、柊木嶋は慌てて床から立ち上がろうとしたが、焦るあまりバランスを崩し、また滑ってしまった。

見かねた陸川北斗が歩み寄り、彼女の腕を取って支える。

天樹夢子のそばを通り過ぎる際、彼はひときわ冷たい視線を彼女に投げかけた。

その一瞥に、天樹夢子は心の中で皮肉な笑みを浮かべた。

助け起こされた柊木嶋は、慌てて陸川北斗の腕に掴まりながら弁解した。「北斗、この件は夢子とは関係ないの。私が自分でちゃんと立てなかっただけだから」

柊木嶋が弁解しなければまだよかったが、そう言ったことでかえって天樹夢子がわざと突き飛ばしたかのように見えてしまう。

天樹夢子はゆっくりと近...

ログインして続きを読む