第60話

林は無関心そうに言った。「どうでもいいよ〜うん〜」

虎の目は興奮で満ちていた。「本当か！」

危険な気配が辺りに広がり、林は胸を押さえた。たぶんあの一杯の赤ワインで酔ってしまったのだろう。今自分を弄んでいる相手が悪人ではないと勘違いするなんて。

彼は浅く笑って言った。「君たちは僕に決めさせたことなんて一度もないのに、なぜ聞くんだい」

虎は目を細め、装っていた幼さを脱ぎ捨て、口を開けて力強く林の肩に噛みついた。林は痛みに慣れているのか、あるいは空気中の血の匂いに慣れてしまったのか、肩から血が出ていることにも気づかないようだった。

虎が歯を離すと、白い柔らかな肩には血の跡がついた歯形がくっきりと残っ...