第25章
本来計画していた通り、藤原黙の世話を早めに済ませて自室に戻り、彼との遭遇を避けようとしていた川崎玲子だったが、今は恥ずかしさで顔がこわばっていた。
間違いなければ、昨夜彼に対してあまりにも無礼で、限度を超えていた。
彼女は気まずそうに頭を下げ、蚊の羽音のような小さな声で謝った。
「すみません、昨夜は酔っていて…」
藤原夜は彼女が部屋にいるとは思っておらず、彼女の恥ずかしそうな姿を見ながら、スーツの上着を脱いで脇に置いて言った。
「謝るべきだな。俺は初めて女に痴漢されたよ」
何気ない口調だったが、冗談なのか叱責なのか、とにかく聞いた者は顔から火が出るほど恥ずかしくなるような言葉だっ...
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