第5章

壁には医療証明書やスキャン画像が掛けられており、空気は消毒液と紙の匂いに満ちていた。

私は椅子に腰かけ、脚にはヨルが寄り添っていた。

藤田先生が分厚い検査結果を机いっぱいに広げると、シャウカステンに映し出されたCTスキャンがぼんやりと光った。

「検査結果は、初期診断を裏付けるものとなりました」

彼の声は事務的でありながらも、慎重だった。

「末期悪性腫瘍です。肝臓、肺、そして腹膜への多発転移が認められます」

三浦煉は身を乗り出し、スキャン画像を睨みつけた。医師である彼には、その白黒の画像が何を意味するのか、即座に理解できた。

疑念から恐怖を伴う認識へと表情が変わってい...

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