第7章
三浦煉視点
近藤礼芽が苦しそうに目を開けるのを、俺は見つめていた。彼女の一息一息が、まるで砕けたガラスの上を空気が引きずられるような音を立てていた。
医療機器がベッドの傍らで死の前奏曲を奏でる中、俺はこの忌々しい付き添い用の椅子に座り、何日も眠れずにいた。
「まだ……写真、撮れるかな」
ちぎれた紙のような声だったが、その瞳には、英鳴市で見た覚えのある、あの情熱の炎がまだ燃えていた。
俺はすぐに彼女の鎮痛剤を調整した。長年の医療訓練にもかかわらず、手は震えていた。
「今は休むんだ。考えごとは――」
「三浦煉」
彼女はありったけの力で上体を起こし、俺の言葉を遮った。
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