第112章 厄介な女

久保湘子が自分から、以前唐沢戦のクラブで彼女を置き去りにして渋谷奕と帰った件に触れたので、篠原瑤の心はわずかに沈んだ。

あの時、彼女は久保湘子に、翌日風雅エンターテイメントへ行って記者の岡村陸を探してくれるよう頼んでいた。しかし今日に至るまで、岡村陸の連絡先は手に入っておらず、岡村陸の方からも連絡はなかった。

これは彼女にとって非常に重要なことだった。久保湘子を信頼していたからこそ、頼んだのだ。

だが、久保湘子ときたら……どうやら彼女の頼み事を心に留めていなかったらしい。

「私のこと、怒ってる?」

彼女の顔色が良くないことに気づき、久保湘子は心を締め付けられ、慌てて説明した。「あの日...

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