第113章 彼は彼女を心配しているのに、彼女は外で遊んでいるのか?

「話すことなどあるものか」

渋谷奕は苛立ちを隠そうともしない。

グラスを手に取り一口煽ると、久保湘子を冷ややかに見据えた。「毎日毎日、鬼のように電話をかけてきやがって、挙句の果てにこんな所まで押しかけてくるたぁ、いい加減にしろよ。ビッチって言葉の意味、知ってるか? 俺が教えてやろうか!」

渋谷奕のあまりに酷い物言いに、篠原瑤は息を呑んだ。久保湘子の体がぐらりと揺れ、床へと崩れ落ちそうになるのを見て、彼女は慌てて駆け寄り、その体を抱きとめた。

しかし、瑤の華奢な体では久保湘子を支えきれるはずもなく、そのまま彼女の重みでバランスを崩し、久保湘子もろとも床に倒れ込んでしまった。

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