第8章

 一時間近く車に揺られながら、私はただ窓の外を眺めていた。心の中は完全に麻痺していた。

 あの見慣れた西洋風の屋敷が見えてくると、私の手は無意識にドアハンドルへと伸びていた。

 「着いたよ」と亮介が静かに言った。まるで週末の小旅行から帰ってきただけのような口ぶりで。

 動けなかった。この場所を見ると、前世の悪夢がすべて蘇ってくる――地下室、終わりのない夜、そして私が死んだあの部屋。

 「明花?」亮介が車を降り、私の側へと回ってきた。「さあ、降りて」

 「いや」ようやく声が出た。「私はここには入らない」

 亮介は笑みを浮かべたままだったが、その目は冷たくなっていた。「明花、君に選択...

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