第19章

藤原宴はタバコを指に挟んだまま、高田啓介の言葉に応じなかった。

彼は高田啓介とは違う。この世で二人目の女性を受け入れることはない。

それが彼の頑なな信念だった。

高田啓介の甥のことを思い出し、彼は尋ねた。「そういえば、君の甥は今どうしてる?」

高田啓介の甥というのは、佐藤暖子が助けた少年、柏原翔太のことだ。

高田啓介は少し考えてから言った。「翔太のこと?今はだいぶ良くなってるみたいだよ。この前また発作が出たらしいけど、幸い綺麗なお嬢さんに出会ったんだ」

そう言いながら、高田啓介は思わず舌なめずりした。「残念ながら会う機会がなかったけど、とても美人だって聞いたよ!」

藤原宴は「…...

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