第25章

自分の世界に浸っていた柏原翔太が、突然わっと泣き出した。

玄関では、柏原おばあさんが焦った表情を浮かべていた。

「この人は医者なのかい?ちゃんと医師免許を持っているのかい?!もしうちの翔太を治療ミスでもしたらどうするんだ?」

柏原奥様は眉をひそめた。「前回も佐藤さんが翔太を救ってくれたのよ。私たちが見つけられる専門家はみんな診てもらったけど、少しも効果がなかった。今となっては、他に方法があるの?」

柏原おばあさんはもう何も言わなかった。

確かに他の方法はなかった。

国内外の専門家をみな呼んだが、柏原翔太の病状を安定させることができる人は一人もいなかった。

柏原翔太は泣き疲れて、...

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