第26章

佐藤暖子は北村陸の方を見て、尋ねた。「この子、ずっとこんな感じなの?」

北村陸はため息をついた。「ああ、発作が起きるとこうなる。最近はもっとひどくなってきているんだ」

「かわいそうな子ね。お母さんが小さい頃からそばにいなくて、ママが恋しいのね」

北村陸の言葉を聞いて、佐藤暖子の胸はさらに痛んだ。

彼女も一人親として、子供が親を求める気持ちをよく知っていた。

藤原宴は隆太のこの様子を見て、殺されるよりも辛い思いだった。

佐藤暖子も初めて、藤原宴が目を赤くしているのを見た。

「隆太、パパだよ。ナイフを置きなさい」

藤原宴が隆太に近づくと、隆太は突然フルーツナイフを自分に向け、震え...

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