第100章 強がり

北村萌花は即座に田中武へ電話をかけた。コール音が鳴るか鳴らないかのうちに、相手は通話ボタンを押したようだ。

「北村先生、こんな夜更けに電話とは、何かありましたね」

 裏社会で数十年の時を生き抜いてきた田中武だ。このタイミングでの連絡が、ただの世間話であるはずがないと察している。

「田中さん、やはりお見通しですね。実は少し込み入った事情がありまして……私の友人とその妻が宏市のホテルで失踪したのです。宏市に顔が利くお知り合いはいらっしゃいませんか? 探していただきたいのです」

「北村先生、ご安心を。宏市には私の兄弟分がいます。名前と写真を送っていただければ、すぐに草の根分けても探し出させ...

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