第102章 金を貰ったサービスはやはり違う

ここ数日、北村萌花は科学研究所に顔を出せていなかった。そのせいで山積みになった仕事を片付けるため、彼女は佐藤健志に子供たちの迎えを頼み、自分は居残って残業することにした。

 幸いなことに、今週末には引っ越しを控えている。そうなれば、これほど慌ただしく奔走する必要もなくなるはずだ。

 夜の九時。森村奏良が鍵を取りにオフィスへ戻ると、北村萌花のデスクに明かりが灯っているのに気づいた。あの女のことだ、どうせ消し忘れたのだろうと呆れつつ近づいてみると、意外なことに彼女は真剣な表情で資料を作成していた。

 周囲は漆黒の闇に包まれ、デスクライトの明かりの下で、彼女だけが懸命にペンを走らせている。

...

ログインして続きを読む