第105章 再び彼を魅了する

北村萌花は慌てて手を引っ込め、周囲を憚るように声を潜めて釘を刺した。

「口で言ってください。ベタベタ触らないで。また変な噂を立てられます」

 彼女に関する根も葉もない噂はただでさえ多い。これ以上、火種を増やしたくはなかった。

 佐藤健志は、彼女がそんな世迷い言など歯牙にもかけないと思っていただけに、その傷ついた様子に不意を突かれた。

「今後、そういうことがあれば俺が対処する」

「結構です。かえって事態が悪化しますから」

 高級美容室の前に車が横付けされると、店長自らが出迎えに出てきた。

「佐藤社長、こちらが北村さんですね。なんと素晴らしい……素材が良いので、髪型とメイクを少し変...

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