第34章 彼に子供の愛を分けられた

翌日、空が白み始めた頃、北村萌花は佐藤健志を揺り起こした。

 佐藤健志は目を開け、あくびを一つ。「北村さん、こんな朝早くに起こしてどうしたんだ。睡眠不足だと、体の回復が遅れるんだが」

 北村萌花は歯を食いしばり、車椅子をベッドの傍まで押してきた。

「一分あげる。さっさと降りてきなさい」

 彼女の怒りに満ちた顔を見て、佐藤健志はこの女を刺激しない方が賢明だと判断した。哀れなことに、この佐藤家の権力者が、たかが一人の女に顎で使われているのだ。

 岡本源に笑われるのも無理はない。佐藤健志自身でさえ、自分を軽蔑していた。

「どうしたんだ、朝っぱらから火薬でも食ったのか」

 北村萌花は車...

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