第52章

安易な約束はするな

由佳は少しがっかりした。彼女はイケオジがしてくれることなら何でも好きなのだ。「でも、本当に嫌じゃないもん」

佐藤健志は宥めるように言った。「由佳、いい子だ。おじさんが髪を梳かしてあげるから、ママに結んでもらいな。おじさんがもっと上手になったら、その時は結んであげるから、いいかい」

由佳は嬉しそうに頷いた。「うん、じゃあイケオジ、いっぱい練習してね。私がおうちにいない時は、ママの髪を結んであげて。そうしたらいっぱい練習できるよ」

北村萌花は「……」となった。

まったく、なんて良い娘なのだろう。

彼女は佐藤健志の方を向き、小声で注意した。「子供に安易...

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