第54章 どうして銀行を襲わないの

その言葉に、北村萌花は可笑しくなった。人を呼ぶならそれなりの態度というものがあるだろう。いきなり偉そうな態度を取るような相手に、自分が敬意を払うわけがない。

「それがどうかしましたか。私に何をしろと命令する権利があなたにあるとでも？　会いたいなら、そちらから来ればいいでしょう」

佐藤玲子はかっとなった。「あなた……あなた、一応は私の籍の上での嫁でしょう。よくもそんな口の利き方ができるわね」

北村萌花は容赦なく言い放つ。「今、毎日あなたと一緒に暮らしているお嫁さんは北村菜々美でしょう。私とあなたは他人です」

佐藤玲子はなおも年長者として威圧しようとしたが、まさか第一ラウンドで失...