第56章 気分はジェットコースターのよう

北村萌花の言葉が、もう少しで彼女の正体を明かしてしまいそうだった鈴木院長を、はっと我に返らせた。

鈴木院長は笑みを浮かべて応じる。「北村先生、次のご協力も楽しみにしております」

北村萌花は意図を汲み取って頷いた。「はい。患者さんはもう危険を脱しましたので、私たちはこれで失礼します」

「本日はお疲れ様でした」鈴木院長の目には称賛の色が満ちていた。この名医を当院に招くことができれば、どれほど良いことか。

佐藤和也が一歩前に出た。「北村萌花、いずれにせよ、礼は言わせてくれ」

北村菜々美が即座に口を挟む。「あなたが彼女に感謝する必要なんてないわ! これは全部、鈴木院長と青木院長のお...

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