第57章 彼女が泥棒をしているとき

北村萌花は確かに心を動かされた。ずっと各国の名医と交流し、より多くの医術を学びたいと思っていたのだ。

青木隼人は言葉を続ける。「時間は私が調整してあげられる。この機会を逃したら、君は絶対に後悔するよ」

青木隼人がこれほど貴重な機会を目の前に差し出してくれているのだ。これを受け取らないのは、本当に物分かりが悪いというものだろう。

北村萌花はフルーツジュースのグラスを持ち上げた。「隼人、参加させてもらうわ。この機会をくれてありがとう」

青木隼人は唇の端を上げて笑い、彼女とグラスを合わせた。「それでこそだ。君の成果を待ってるよ」

その時、北村萌花の携帯が鳴った。佐藤健志からの着...

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