第65章 佐藤社長の帰還

森村奏良は、彼女が二、三度匂いを嗅いだだけで当てられるなどとは到底信じられなかった。今や漢方の老練な医者でさえ、札を付けなければ見分けがつかないというのに、彼女のような若い娘にできるはずがない。

彼がまだ北村萌花の失態を待っていると、意外にも松田が頷いた。

「すごい、全問正解だ。まさに後生畏るべしだな。冗談で言っているだけかと思いきや、まさか実力があったとは」

北村萌花はにっこりと微笑む。「お褒めいただき光栄です」

次は青木隼人の番だった。彼の六種の薬草も、北村萌花にすべて言い当てられた。

森村奏良はかぶりを振る。「ありえない、あんたたち、彼女を庇ってるんだろう。わざと簡...

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