第91章 社長、恋に落ちる

車内で、北村萌花は小刻みに震えていた。佐藤健志はバスタオルで彼女を包み込むと、そのまま腕の中に抱き寄せる。

「気分はどうだ? まだ寒いか?」

 北村萌花は諦めたように溜息をついた。

「あなたといると、いつも様々なトラブルに巻き込まれる気がするわ。おかげで体調まで崩しそう」

 佐藤健志は苦笑する。

「単に君が年をとって、体が弱っただけという可能性はないか?」

 北村萌花は殺気立った視線を彼に投げつけた。

「気の利いたことが言えないなら黙っていて。誰もあなたを啞だなんて思わないから」

 佐藤健志はすぐに口をつぐんだ。運転席にいる達也は、必死に笑いを堪えている。あの社長が女性一人に...

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