第38章

その夜、江口ココはフロアウィンドウ際の一人掛けソファに座り、ぼんやりと外を眺めていた。突然、小さな人影が近づいてきた。

「ママ、暖暖は温泉に入りたいな……」

江口暖暖はママの胸に飛び込み、小さな両手で江口ココを抱きしめ、大きな瞳をぱちくりさせながら甘えた。「せっかく来たのに、温泉に入らないなんてもったいないよ、そうでしょ、ママ……」

江口ココは我に返り、娘の可愛らしい姿に心が和んだ。彼女は笑顔を見せ、娘の小さな鼻をつまんだ。「暖暖って楽しみ方を知ってるのね。いいわ、服を着替えたら行きましょう」

二人はすぐに浴衣に着替え、手を繋いで庭へと向かった。

彼らが泊まっているのは山荘の最高級...

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