第40章

その夜、江口辰は睿ちゃんに電話をかけ、現状を詳しく説明した。

「睿兄さん、透視機能付きのナノ隠れコンタクトレンズが必要なんだ」

電話の向こうの江口睿は状況を把握しており、余計な質問はせずに即答した。「わかった、計画通りに進めよう」

「うん!」

翌朝早く、木村謹は江口暖暖を連れて青木グループへ向かった。

車が地下駐車場に着くと、江口暖暖が突然口を開いた。「秘書のおじさん、牛乳が飲みたい!」

木村謹は一瞬戸惑い、バックミラー越しに女の子を見た。「朝飲んだばかりじゃないか?」

江口暖暖は小さな唇を尖らせて不満そうな表情を浮かべた。「朝飲んだからって、もう飲んじゃいけないなんてルールあ...

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