第48章

その日の夕方、青木圭が家に帰ると、廊下で向かいから歩いてくる「江口暖暖」とばったり出会った。

「女の子」の表情は以前よりも冷たく、まるで青木圭が空気でもあるかのように無視して自分の道を進もうとした。青木圭はその様子を見て、表情が幾分暗くなった。

「ちょっと待って」青木圭は相手を呼び止めた。「話があるんだ」

江口辰は足を止め、振り返って青木圭を冷ややかな目で見た。

青木圭は彼の拒絶を感じ取り、かすかにため息をついた。「私の書斎に来なさい」

辰ちゃんは断ろうとしたが、自分はまずクズ男に濡れ衣を着せられ、次にあの可哀想な子を救うために身を危険にさらしたのだから、どう考えても損をしていると...

ログインして続きを読む